2週間かけて何とか制覇しました、ライフ4チーム。
そのうち1回は初日。
1回は楽。
やっぱり全チーム制覇ってなかなかスケジュール的にきついです(笑)
「これは!」
ってそのチームをリピートしようと思っても、公演スケジュール見たら後は平日マチネしかないとか、なんかもう私も劇団もギリギリなんだなーとか
(いや、あちらはこっちの事情は関係ないでしょう)
取れていなかった1チームは当日券で狙おうと思って、いつならいけるかとか調節しまくっていたため、けっこうここ2週間のスケジュールがライフに振り回されていた感もあります。
(無事にいけました(^-^))


まあ、だからこそ祭り(笑)
楽しかったから良し。


さてさてドラキュラ感想。(限定岩崎)






岩崎さん
初見は実は「ちょっと足りないなー」という印象でした。
ドラキュラ伯爵としては迫力も存在感も希薄というか・・・決して、主役としてどうのというものではなくて、なんというかドラキュラ役をやるには「濃さ」の系統がちょっと違うんじゃないかと思ったんです。
OZのムトーが代表作だったりする程の役者さんなので、どこか持って生まれた爽やかさがあったんだろうなー。
ただ、じつはこの「足りないなー」感、2度目(千秋楽)の鑑賞ではかなり解消されました!
見ている私もこれまでの笠原さんや曽世さんのイメージをある程度押し付けてしまっていたり、岩崎さんのドラキュラに慣れたというのもあるのだとは思いますが、血液の温度の違う、3人目の(3種類目の←?)ドラキュラが出来てきている気がする。
もし再々々演があるなら、また是非岩崎さんにやってもらいたいと思う!!
多分まだ未完成なんだと思うデス・・・。


岩崎ドラキュラの今までの2人との私的大違いは、ジョナサンに対する思いそのモノが薄いと感じられるところかも。
これも、最初は
「それはちょっとなー」
って感じでした。
わざわざトランシルヴァニアまで来させておいて
「ジョナサン、君に逢いたかった」
とまで言っている割には、かなりジョナサンのことスルーなんだよね、岩崎ドラキュラ。
もっと執着して欲しいと思うのに(いや、もしも岩崎さん全力で執着していたらごめん・・・)ジョナサンの一挙一動に対して反応が薄いというか、自分が気に入らないことをジョナサンがしでかしたときの拒絶(躾け?)反応と、ジョナサンを「気に入った」と言うときの表面的な社交辞令のような反応があまりに格差がありすぎて
「お前、ジョナサン狙いじゃなかったんかい!!!!」
と喝を入れたくなるほどだったんですが(笑)
純粋に餌として取っておいた(保存食!?)人間に、会話を重ねていくうちに情が移ってしまったような感が否めなくて、ジョナサンに逃げられてがっくり来るところは
「こんなことならさっさと血をすっておけば良かったじゃん俺!!!!」

夕食後に出た大好物のプリンを冷蔵庫で取っておいたんだけど、いざ食べようとして冷蔵庫から出したら手が滑って床にぶちまけちゃった後悔みたいな。


だけど楽を見て、ふいに「あ、それでもいいのかな」と思ってしまいました。
ドラキュラが欲しかったのは結局のところ「ジョナサン」ではなくて「果樹園の君と同じ顔をした人」だったんだもんね。
ジョナサンがジョナサンとしてこれまで築き上げてきた彼の「個人」はドラキュラは全く興味ないわけなんですよね。
再演の時は「果樹園の君」の話が無かった初演の影響もあったのか、どっちのチームも普通に「ジョナサンは果樹園の君と顔だけじゃなくて考え方とか喋り方とかも一緒なのかな」と思わせるくらいドラキュラの執着はジョナサン個人に向かっていた印象が残っているのですが(そして時折、果樹園の君にはありえなかった言動がドラキュラを困惑させたり楽しませたり怒らせたりしていたのかと)今回の岩崎ドラキュラは、純粋に
「果樹園の君と同じ顔」
であることが大事で、そのほかの人間性とかはどうでもよかったんだな。という感じ。
見ていてふいに思い出したのは、川原泉さんの「intolerance-あるいは暮林助教授の逆説」という作品。
内容は・・・ちょっと一口にいえないのですが、簡単に言うと、自分にとって疎ましかった人間と同じ顔だが全く性格の違う人に出会った男が、そのそっくりサンと過ごす事で、自分の中にある疎ましい人の記憶を全てそっくりサンと混在させ、最終的に疎ましかった人の存在のことすら自分の中でなかったことにしてしまおうということをしようとする話というか・・・
簡単に言えない(笑)
まあ、そのままではないのですが
ドラキュラは最初
「自分という化け物を自分以外に作らなかったことを喜んでいる」
という様な事を言っているのですが、後に
「愛した者が醜く年老いていくのを見ることの辛さ」
をもらします。
「その男(ジョナサン)はいずれ用済みになる」
という言葉も、結構説得力があって(本気で用済みにされそうなんだよね・・・)
実のところ果樹園の君の老衰と死んでいく姿を見てしまったことはドラキュラの中で大きな後悔になっていて、ジョナサンを彼に見立てて自分の眷属にしたて、果樹園の君を逃してしまった痛い記憶を「彼は私の仲間になった」という記憶に切り替えてしまおうとしているんじゃないかな、と思ったんです。
その上で何らかの事故で果樹園の君(ジョナサン)の命を絶ってしまってもかまわない(ジョナサンは結局果樹園の君本人ではないから)。
彼に必要なのは、果樹園の君が一度はドラキュラの眷属になったという事実だけ、ということかもしれない、と。
つまりは、岩崎ドラキュラにとって果樹園の君と同じ顔であれば、実のところジョナサンだろうがアーサーだろうがキンシーだろうがセワードだろうが誰でも良かったんだろうなー・・・
と、感じられましたです。
セワードが冒頭で言う「代償行為」って言葉も掛けてあるのかのう。
結局のところ、ジョナサンのジョナサンとしての人間性や個人はむしろドラキュラにとって邪魔なだけくらいになっていたのかな、と。
そういった意味では残念ながら(笑)気持ちのベクトルがすれ違いに見えてしまって岩崎・姜コンビならではの楽しさはあまり見れなかったのですが・・・
なんかそういう、過去に行き続ける超ドリーマー伯爵も切な度高くて良かったナーと。


本当に、再々々演あるならもう一度岩崎伯爵お願いします!
絶対に変わると思うのー!!!!!
って、岩崎さんだけで随分語ってしまった・・・
まあ、いいや。
今回語るものとしては私の中では岩崎伯爵がかなり大きいので。
あとは・・・色物だし(オイ)


あー、及川ミナ、どう見ても婚約者とかじゃなくてお姉さんだったなー・・・
姉ミナ・ハーカー
弟ジョナサン・ハーカー
という一家に見えました。最後の最後まで・・・
なんかもう「ミナ!」を「姉さん!」に置き換えても全然話に支障なさそうなんだよね。
ラストシーンのキンシーを甥っ子設定にしてもらう程度で。